これから10年の間に起こること:その2

以前書いた記事のフォローアップ記事である。



さてさて、EUがついに日本の某自動車メーカーに引導を渡しにきたのである。去る、7月14日、欧州委員会2035年にはプラグインハイブリッド(PHV)車を含む、全てのハイブリッド車の販売を禁止することを発表した。つまり、完全な電気自動車(BEV)以外は認めないという方針を明らかにしたのである。まあ、かつてホンダがF1から叩き出されたように、露骨に某メーカーを狙い撃っている感は否めないのであるが、それに対抗するとしても、迎え撃つジャップ側の人材が上から下まで(官も民も)非常に薄く弱いという感じがするのである。


例によってネット民が言っていることが過去あたったことが一度もないというのは既にデータとしてあるので(これは、朝日や立憲が声高に大賛成していることは、なにがどうあろうと日本にとって何のメリットがないということと同じことだと思う、だから、データだけを信じれば、今回の五輪開催は開催した方がよかったということになるのであろうか???)、その点をよく踏まえて、議論されている各ポイントを検証してみたいと思う。




1. 「電気自動車は車を作る時にものすごく電気を使うからエコじゃないの、エコじゃないんだってばパォーンパオパォオーンのピヨピヨピー」


いやどう考えても、東京とか大阪の大都市だったら、排気ガス出さない車だけ走らさせた方が空気が圧倒的にきれいになるだろうよ。まずはそこを考えろよ。その方が、多くの人民にメリットがあるだろうよ。それをエコっていうんだよ。


それに、ネット民がしつこく主張している電気の問題は、欧州や中国はモジュール式の小型原子炉で解決しようとしているので(=CO2を全く出さない)、日本とは全く状況が違うということも知らない人が多すぎる。



日本はこの小型原子炉の件については、完全に思考停止しているが、世界はそんなジャップの気持ちなんか気にしてくれない。だから、「生産時に異様に電気を使うのでエコではない」という主張は明らかに間違っている。それは、「日本でBEVを作った場合は」という間違った仮定での条件のみの場合で成り立つ話である。確かに石炭火力でBEVを走らせるのは本末転倒だろう。もちろん欧州はそんなことしないので間違った仮定で話しを続けても無意味かつ時間のムダでしかない。




2. 「電気自動車はEUが日本潰しのために仕掛けてきた陰謀なの、アメリカは国土が広いからBEVでは生活は無理なの、だから日本が誇るハイブリットはアメリカでは受け入れられるに違いないの、違いないのよーのよよーんのよよよよよよよー」


既に、アメリカで一番売れているフォードのF150というピックアップトラックは(ハイブリッドを余裕で通りこして)BEV化されている。



最大航続距離は300マイルだから、ほぼ500kmに近い距離である。


よく知らんが、500km以上毎日走る人がアメリカには多いのだろうか?そして、そんなことをジャップ民が心配してどうするのだろうか?


わからなすぎるので、この議論はこれ以上深堀りするのは無理である。




3 「テスラは電気自動車は作れてもシャーシに対する技術がないからそこは日本の製造業の技術や優位性がなくなることはないの、ないのったらないの、ピコーンピコーンパロパロピロピローン」


そんなボンクラのあなた達が気づいていることを、なぜイーロンが気づいていないと思っちゃうのか(こういうところが自分が一番理解できないところである)???


テスラはシャーシの多くの部分を鋳造で作ろうとしている。



ギガキャスティングとかメガキャスティングという仕組みや装置を投入して、実際に実用化しているのだ。これにより、余計な手間暇を削減し、また鋳造することでより強度の高いシャーシを作ろうとしている。アルミを使うことで軽量化も図っている。


もはやジャップ民のみなさんが何をいっているのかも理解不能なのだが、とにかくイーロンはそういう人的なノウハウを極力廃して、極めて現代的なアプローチで先に進もうとしているのである。日本の自動車メーカーは何が起こっているのかを本当に把握できているのだろうか?


*この件については、こちらの記事を参考にさせて頂きました




4. 「電気自動車は長距離を走ることに向いてないの、そして、充電ステーションが整備されてないから、電気がなくなったら一貫の終わりなの、ねえみんな、終わりなのよ、終わりったら終わりのなの、パンパカパンパカピー」


いやいやいやいや、どう考えてもガス欠寸前でガソリンスタンド探すよりも、100Vのコンセント探す方が楽だろうよ。特に田舎では。230Vだろうとなんだろうと同じことである。同様の理由で、日本が誇る水素自動車も厳しいものがあるのである。


確かに充電時間とガソリンを満タンに入れる時間は雲泥の差があるが、それも長距離を走る時だけの話で、普段は寝ている間にフル充電すればいいだけの話だ。長距離を走る場合は休憩を入れたり、飯食ったりして時間を潰す必要が出てくるかもしれないが、これも他のトピックと同様で、ネット民の多くがそんな長距離を走ることは年にあっても数回の話だろうし、おそらく本当に調査すればゼロに近い件数についての懸念事項ということになるかと思う。まあ、そんなに心配なら、その時だけタイムズカーレンタルでガソリン車を使えばいいだけの話ではないかと筆者は思うのだが、いったい何が問題なのだろうか・・・。




5. 「だーかーらー、マイナス20度の環境だと電気自動車は電池が劣化して使いものにならないんだってば、ならないのよピンピコピンピコピーのピー」


いやだから、そもそもお前は絶対にマイナス20度になるところに住んでないだろうよ。お前に全く関係ないことを本気で心配してどーすんだよ、ボケナス。


これは典型的なネット民のリアクションの一つで、「自分に関係ないことに妙な危機感を覚えて発狂してしまう」という現象の一つである。一番有名な例は「安倍ちゃんが総理になったら戦争がはじまってしまう!」というものだ。何を心配しているのか知らないが、戦争が起ころうと起こるまいと、あんたらの人生なんてクソ以下でしかないのだから、心配している時間を少しでも敗北者のクラスタから抜け出すことに使った方がいいに決まっているのである。


この「寒冷地では電気自動車は使い物にならない!」というのも本当に典型的と言えるネット民の意見で、マイナス20度になる条件下で電気自動車を走らせなければならない状況に置かれる人が(1)どのくらい(2)どの地域に分布しているのかを想像することができないのだ。そして、少なくとも、ネット民の多くは車を持っていないだろうし、持っていたとしても、マイナス20度より下の状況下で車を走らせる必要にかられることはほぼないと思われる。


ということは、つまり、この意見について議論すること自体が全くのムダなのだ。ムダなことを議論してもしょうがないことは、ヨーロッパの人には理解できても、日本のネット民には(知能が低すぎるため)理解できないのである。


なので、電気自動車の本来のテーマからは若干それてしまうが、この議論についてはネット民的な思考回路の問題から発生していることを踏まえるしかないのである。





といった感じで、FAQとも言えるくらいネット民が発狂しまくっているトピックについて、さくっと考えても、全てキレイに間違っているのである。なかなか悲惨な結果だと思う。


もちろん環境ということを真面目に考えると、電池ほど環境に悪いものないというのは間違っていないし、それを誰も口にしないのはおかしかったりするが、車を完全にBEV化するメリットの方が大きいとEUと中国は考えているということである。その動きに関して自国に付随してくる利権の大きさを含めて。


BEV化がされた世界のその後の話をするとすれば、そもそもBEVというのは、究極的には4輪のホイールにモーターがそれぞれ1コずつ入った車になっていくはずである。他は、(CATLが製造した)バッテリー*1とコンピューターだけという極めてシンプルな構成になるはずだ。


そして、そんなBEV化された自動車に積まれた処理速度の早いCPUによる自動運転が普及すれば、飲酒運転のトラックが小さい子どもたちの列につっこんだり、DQNに煽られたり、ということがまずなくなる。どう考えても、現状より道路事情はよくなるのである。特に都市部は自家用車という概念がなくなり、そこら中にプールされている無人のタクシーがスマホのアプリ上のクリック一発で、家の前に来てくれるという未来が待っている(いわゆるロボットタクシーってやつですね)。駐車場は都市部では不要になるのだ。もちろん、あなたがそのタクシーの充電がどうなっているかなんてことを考える必要は全くない。


電気自動車(BEV)はそういった車社会を実現させるというゴールを見据えた上での欠かせない技術の一つなのである。この歴史的な大転換となる大きな流れに対して、ジャップランドのみなさんが官民あげて必死に反対してどーすんのよ、というのが今回の話のキモである。


そして本当に心配しなければならないのは、以前記事を書いたことがあるのだが、ジャップのみなさまが一番不得意としているソフトウェアの技術の部分である。




自動運転には欠かせないソフトウェアを自前で用意できないのなら、BEVについてはそもそも他国と競争にならない可能性が高いのである。例えば、アップルのBEVについては、上記した様に、ホイールにモーターが入っただけの車に、M1を搭載したiPhoneをガチャっとはめるだけで、はい出来上がり、という状況が見え、これを日本のメーカーが追いかけることができるかと言うと、絶望的に苦しいと言わざるを得ない。


だから、ジャップの車メーカーのトップ層の昨今の発狂ぶりを見ると、この絶望的な状況に対して命乞いをしているだけなのでは?と思ったりもするのである。これが正しい認識だとしたら、もう日本の車産業は事実上詰んでいると言っていいと思う。


ガラパゴスな国内で済む話なら、それでもいいかもしれない。ジャップのみなさまはネット民のお望みのとおり、自動運転なんかいらないし、アホ丸出しな高級ワンボックスみたいのを乗り続ければいいのかもしれない。


しかし、現実として日本の車産業は外貨を稼ぐための日本の看板的な産業のはずである。それを意思を持ってガラパゴス化させた時のバックラッシュを考えると恐ろしいばかりである。そして、きっとそうなっていってしまうだろうという予想がついてしまうところに衰退してくジャップランドの救いのなさを感じずにはいられないのである。

*1:まだパナが電池では世界一と思っているジャップ民の多いことよ・・・