昨日(7月3日)、ヤクルト古賀は4打数4安打でニュースに取り上げられる程の活躍をした。ここまでに彼がマスクを被った試合は、ヤクルトの13勝4敗2分けらしく、貯金を9コもチームにもたらしているというのは最高としかいいようがない。さらに、テンポが悪く(今の球界ではダントツで最悪だと思う)、球数の多い小川をうまくリードして、110球で完投させたのも、文句のつけようがない素晴らしい仕事だった。
これと対照的なのが正捕手の中村である。ヤクルトの前半の好調さは彼が2番に入って打ちまくったのが大きかったというのには何の異論もないが、それ以上にド素人が見ていても「それはねーだろうよ」と声に出さずにはいられないリードは全く進歩が見られないままで、自分は今年はかなりの試合をリアルタイムで見ているのだが、リードを解説者にダメ出しされないことがない、というくらい、その稚拙さを指摘されることが多かった(個人的には、解説者が元投手だろうが、元打者だろうが、ボロクソにダメ出しをされまくるのが興味深いです)。
で、そのリードの部分は何年も前からファンの間では言われていることで、もはやコアなファンほどあきらめているというか、期待していないのが現状であろう。「リード以外はなかなか」というのが彼の一般的な評価だと思うのだが、それ以上に彼には捕手として致命的な欠点があるのである。
それは、「ヤクルト側が点を取った直後の相手の攻撃で、同じ点数かそれに準ずる点数をかなり高い確率で取られてしまう」ということにあるのである。
「そんなのよくあることじゃん笑、そもそも野球って点取りゲームだよ笑笑?」というのはよくわかっていることであるし、おっしゃるとおりであるのだが、その一方、野球というのは「流れを奪い合うゲーム」でもあるのである。最後には流れをうまく引き寄せた側が勝つことになっているのだ。だとすると、味方がせっかくあの手この手を使って点を取ってきたのに、その直後にあっさり息を吐くように同点や1点差にされるのは、流れを逆に相手に渡すことになるし、弱小チームがみんなで絞り出すように苦労して持ってきた流れを速攻で相手に渡してしまうので、精神的な疲労が思いの外大きいのである。
クソド素人が適当に言葉で小暴れしたってしょうがない。実際のデータを見てみよう。
こちらが、6月までのデータである。
日付 | 点をとった直後のイニングに追いつかれた状況 | 相手 | 結果 | 投手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2021/03/26 | 同点にした直後に勝ち越されるを2回やられる | 阪神 | 4-3で負け | 小川 | |
2021/04/01 | 2回に4点取ったのに、直後に7点とられる | 横浜 | 11-11で引き分け | 山野 | 山野がかわいそうすぎる、これ以後チャンスをもらえなくなった |
2021/04/07 | 4回裏に1点先制した直後にあっさり同点にされる | 広島 | 3-2で勝ち | 高梨 | |
2021/04/21 | 6回表にやっと1点先制した直後にあっさり同点にされる | 広島 | 1-1で引き分け | スアレス | |
2021/04/27 | 2回に同点にした直後に勝ち越され、3回には逆転したのに直後にあっさり追いつかれる | 巨人 | 14-11で負け | 田口 | 開幕2戦目の田口-中村の時のリードは、NHK解説の宮本慎、藤川両者にボロクソに言われてた(しかも初回からずーっと) |
2021/05/02 | 2回にせっかく4点と大量リードしたのに、その直後にあっさり3点取られる | 横浜 | 8-7で負け | 小川 | |
2021/05/04 | 5回裏、せっかく1-2の状態から3点取って4-2としたのに、直後にあっさり2点取られて同点にされる | 横浜 | 11-5で負け | 田口 | |
2021/05/30 | 4回表、せっかく2点取って1点差に追いつくも、直後にきっちり2点取られて5-2とされる | オリックス | 8-7で負け | スアレス | |
2021/06/03 | 4回裏、せっかく2点先制したのに、直後に当たり前のように2点取られて同点にされる | 楽天 | 4-2で負け | サイスニード | |
2021/06/05 | 6回裏、2-1から1点とって3-1とした直後にあっさり1点返される | 西武 | 6-3で負け | 小川 | |
2021/06/19 | 1回裏、せっかく1点先制したのに、直後に2点返される(その裏に2点取って3-2にはなったけど) | 中日 | 7-3で負け | 小川 | |
2021/06/20 | 7回裏、やっとのこと2点先制したのに、直後に1点返される(しかも、キャッチャーが中村に替わった直後) | 中日 | 2-1で勝ち | 梅野 | |
2021/06/23 | 3回に4点とって5-2と突き放したのに、直後にさくっと2点返されて1点差に追いつかれる | 広島 | 8-5で勝ち | サイスニード | |
2021/06/26 | 1回裏に2点先制するも、直後にいつものごとく2点取られて同点にされる | 巨人 | 10-3で負け | 小川 | |
2021/06/30 | 8回になんとか1点取って2-1とするも、予想通り直後に1点取られて同点にされる | 阪神 | 2-2で引き分け | 清水 |
結果は明快で、中村の悪癖が出た試合はきれいに3勝9敗3分けである。小川のクソぶりも毎度のことだが*1、だったらこのコンビの場合少しは工夫しろやボケとファンなら言いたくなってしまうのはしょうがないことだろう。さらに中村の悪いところはこの悪癖を自覚せず、淡々といつも通りのプレーをしてあっさり同点にされてしまうところである(マジでわざとやってんのか?と思ってしまうくらい、当たり前のように同点にされるというか、最近は同点にされるのをファンは予想できるようになってきている)。逆に古賀は最近、思い切りジェスチャーなどでピッチャーに注意喚起を行うようになってきた。中村のリードにはそんなささやかな気遣いが皆無なのである(さすがに、内角への訳のわからん特攻リードはかなり少なくなってきたが)。
*2021年09月16日追記:
その後のデータはこちら。オリンピック中断後は大幅に改善されている。
日付 | 点をとった直後のイニングに追いつかれた状況 | 相手 | 結果 | 投手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2021/07/10 | 7回裏に1点取って2-1と勝ち越しするも、8回表に余裕で被弾して3-2と逆転される | 広島 | 4-3でサヨナラ勝ち | 星 | |
2021/08/21 | 初回表にヘロヘロになりながら1点を取った直後の初回裏にルーティーンのごとく余裕で1点返され同点とされる | 広島 | 8-3で勝ち | サイスニード | |
2021/09/18 | 1回表に先制したその裏に1点取られて同点 | 巨人 | 6-6で引き分け | 高橋 | これはノーアウト満塁を1点に抑えたというもので、いわゆる通称「中村リセット」としては逆にうまくやったという内容でこれなら全く問題なし |
*2021年11月23日追記:
日本シリーズの大舞台で例のコンビでのリセット芸が炸裂したので追記。
日付 | 点をとった直後のイニングに追いつかれた状況 | 相手 | 結果 | 投手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2021/11/23 | 5回裏に相手のミスも絡み3点を取るも、直後に先頭打者に余裕で得意技の長打(二塁打)をくらい、その次の打者に本塁打を献上し、もはやリセット芸と言ってもいいくらいの同点を自らで演出、勝ったからいいとはいえ、中村ー小川のリセット芸コンビは健在であった・・・ | オリックス | 5-4で勝利 | 小川 |
なんと今季6度目(!)のご披露・・・。ほんと見てて疲れます。テンポも最悪でした。
*2021年11月28日追記:
優勝したのだがこの試合もリセットがかかったのでいちおう追記。
日付 | 点をとった直後のイニングに追いつかれた状況 | 相手 | 結果 | 投手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2021/11/27 | 5回表に先制するも、その裏にあっさり同点にされる | オリックス | 2-1で勝利 | 高梨 |
中村はシリーズMVPを獲得した。打線に関してはほとんど全員がボロボロの状態で一人だけ3割1分8厘を打ち(ちなみにオスナが2位で2割9分2厘、個人的には多くのファンの意見と違い、彼は欠かせない選手だと思っています、特に守備面は彼のおかげで非常に安定していました、山田は1割6分7厘、村上は2割1分7厘)、リードも頑張ったので妥当な受賞だと思われる。
それにしても、シーズンもそうだがシリーズも我らヤクルトが誇る3番4番はほとんど何も仕事をしないままだった。OPSや本塁打数はリーグの他の選手と比較すると二人とも五傑に入ってくるのだが、それだけだという感じはシーズン、シリーズと1年通して否めなかった。二人は勝負強いわけでも、相手のエースを粉砕するわけでもなかった。特にスーパーエースに対してはほとんど歯が立ってなかった。昨年、ソフトバンクがボコボコにした全盛期を過ぎた菅野にも今年もいつもと同じ感じでやられていた。今年のヤクルトは「誰かが日替わりで活躍してそれを継投で守り切る」という戦い方で、それがうまく機能した。昨年の最下位から見事に投手陣、特に先発陣を立て直した監督の手腕が最初から最後まで光っていた。フライボール革命等、新しい考えや価値観が出てきて、野球の本質が変わってきていて、別にチャンスで決める必要も、打率を残す必要もなくなってきたのであろう。高津監督はそういう変化にもうまく対応してチームを見事に優勝に導いた。来季はマクガフを8回に固定するためにも、新しい抑えが必要である。ただ、そういう考えに固執しないで現実的な解を常にファンに提示してきた高津監督のことだから、心配はいらないのだろう。監督の手腕でチームを優勝まで持っていったというのはしばらくなかったことである(某球団のヒステリック采配とは正に好対照でした)。シリーズでも監督の手腕の差が出たな、という印象は強く、昨日の優勝を決めた試合もレフトに吉田を使っていなかったら先制点はなかったし、ヤクルト全員が震え上がっていたAJの使い方もおかしかった。5戦目を獲ったところで6、7戦は山本、宮城であり、オリックスの方が有利だったのに、そのアドバンテージを監督はうまく活かせなかった。山本も変に力む必要がなく(というのも、3番4番はどうせ打てないので)あんなにストレートを全力で連投する必要もなく、適当に低めにボールになる変化球を投げていれば、ヤクルト打線は引っ掛けまくっていたはずである。なんであんなに最初から本気になっていたのかは謎でしかなかった。結果、9回で140球も投げるハメになり、ヤクルトの優勝につながってしまった(理想を求めすぎない代わりに、勝ちに異様にこだわるピッチャーかと思っていましたが(マーとか奥川くんみたいな)、四隅を狙わないと満足できなく実力より球数がかさんでしまうタイプのピッチャーなんですね)。そういう部分でもオリックスは非常にいいチームであったのだが(特に三遊間の肩はメジャーレベルでうっとりと見とれてしまうくらいすごかった)、チームとしては非常にチグハグでまとまってない印象を受けた。その点、ヤクルトはオスナ、サンタナの二人が見事にチームに溶け込んで、巨体を揺らしての全力疾走をシーズン最後まで貫き通した。サンタナはバリバリのメジャーリーガーだったが、7番で使われても腐ることが全くなく日本の野球をナメた態度を一度も見せなかった。そして、どれだけいい場面で打つかが重要だということを知っているので、シーズン後半のエンジンをかけなければいけない時期に打ちまくって、最後はチーム内首位打者で終わった。成績は史上最強と呼べるほどではなかったが、ヤクルトがなぜ優勝できたかは、この二人が加入してくれたことが監督の采配と共に一番大きかった。
ちなみに古賀はこんな感じである。
日付 | 点をとった直後のイニングに追いつかれた状況 | 相手 | 結果 | 投手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2021/06/06 | 1回裏、2点先制した直後にあっさり1点返される | 西武 | 9-6で勝ち | 高梨 | |
2021/06/07 | 1回表、せっかく3点先制したのに、速攻で2点返される | ロッテ | 7-4で負け | 奥川 | まあ、奥川くんの場合は奥川くんが悪いといってもいいよね笑、それくらいのすげー投手、正直現時点でもチームではダントツで一番いいピッチャーだと思う |
2021/10/17 | 3回表、4回表にそれぞれ1点を取るも、直後にきっちり1点ずつ返される | DeNA | 7-3で勝ち | 金久保 | リセットかかりまくったけどうまく金久保を勝たせた感じ |
結果論だけで話すことが危険だしナンセンスなのは十分承知しているのだが、データはデータでありウソをつかないのである。
もう一つ、ヤクルトには「山田が超一線級のピッチャーを全く打てない、かつ、ウルトラスーパーチャンスの場面ではまず打たない」という問題もあるのだが、これと中村問題を組み合わせた場合に、この二人でいったい何試合落としているのか(山田は最近、犠牲フライもロクに打てない状態が続いてますよね・・・)、というのを真剣に考えたほうがいい時期にきていると思う。山田は典型的なスタッツだけが優秀な選手で、一線級を打てずにヤクルト側がボロ負けの試合で、7回以降に出てきたどうでもいいピッチャーから安打を放って数字を整える選手になってしまった*2。おそらく体調が相当悪いのだろうが、2割5分でもいいので、チャンスに強く、チームに勝利をもたらしてくれる打者になってほしいものである。彼がもらっている年俸や契約年数を考えるとなおさらである。
そんなわけで、個人的には世間から言われているようにキャッチングの弱さはあるにせよ、結果を出しているうちは古賀を責任もって使っていってほしいと切に願うのである。見ている側としては、味方があの手この手を使ってユニフォームを泥だらけにして、脇役が立場をわきまえた仕事をして、せっかく取ってきた1点を、直後に、前から決まっていたかのように涼しくチャラにされてしまうのはつらすぎるのである。
もっと言えば、リードなんてベンチに古田を置いておいて彼に全てをやらせればいいだけだと思うのだが(これ、巨人がやれば最強なのにね・・・、やらないでね・・・)、そんなことが出来ない球団と古田両者それぞれの事情もファンはしっかりと感じている*3。だからこそ、球団は世界一温厚なファンに甘えず、しっかり先を見据えた球団作りをしてほしいものである。
*2021年10月26日追記:
本日、10月26日にヤクルトの優勝が決まった。今シーズンの大きな転機になったのは、あるキッカケがトリガーになったのかは不明だが、急に阪神の佐藤輝明が極端に打てなくなり(打てない日本記録を作ってしまうくらい打てなくなった)、阪神の勢いが完全に止まってしまったことだった。ヤクルトはオリンピック中断後に9連勝するなど、一気に阪神をまくって優勝を決めたのだった。
中村はいわゆる通称「中村リセット」を後半はほぼ完全に封じ込めて、リードもほんのちょっとだが改善し(基本的には言われているほどの変化はない)、相変わらずの勝負強い打撃でチームを何度も勝利に導いた。古賀も難しい試合やピッチャーを任されることが多かったのだが(小川を押しつけられた感じ)、見事にその実力を発揮してチームを勝たせまくった。特に、9月15日の対阪神戦で初回の1点を守りきり1-0で買った試合は今季のベストゲームといってもいい内容だった。リードは谷繁にも認められているくらいのレベルであるので、もうちょっとチャンスをあげたり大一番の試合で使ってあげて経験を積ませてほしいと思うのである(ただ今年は中村が打ちまくったので難しいところではありますが)。
中村と言えば問題はリードなのだが、「それはねーだろうよ」というリードは、かなり少なくなったと言ってもいいと思う。
ただし、
・9月8日 5回に代打で出てきたロハスジュニアになぜか初球に打ちごろストレートを投げ込んで(代打は基本ストレートを待つ&外国人は基本ストレートを待つ)同点2ランを食らう→結果、5-3で負け
・10月15日 あれだけ内角が打てないと言われている、かつ、8月31日にも同じ攻めでやられている中田翔に外角ストレートを投げ込んで被弾→8-7で勝利
・10月24日 唯一、高めのストレートだけが打てる廣岡に高めストレートを投げ込んで、二死から3ランを食らう(しかもオープン戦で全く同じコースで一発を献上しているにもかかわらず)→6-4で勝利
など、素人が見ていても「おい!」とテレビの画面に叫んでしまう大事なところでやらかすリードはある意味健在だった。特に廣岡に打たれた3ランは誰がどう考えても防ぎようがあった一発で、もしこの一発がきっかけでこの試合を落としていたら、V逸はこのクソリードのせいだったと言われてもしかたがない危険なものだった。また、ファンの間では清水という投手は飛翔癖がある投手として知られているが、これももしかしたら中村のリードによるものではないか?とも思わせられる。というのも、古賀が清水を受ける場合は全くそういった気配がないのである。また、相変わらず打者の初球に(特に回の初球に)長打を食らうことも多く、ここらへんはできれば改善してほしいところである。
だが中村はもう一つのしたたかな顔があって、まず、解説者で批判の先鋒とも言える存在だった谷繁と達川に教えを乞うことで、うまくだまらせるという対策をとった(どちらも文句が言いづらくなったどころか、突然絶賛する側にまわった)。また、9月に入ってからは清水とマクガフへのリードはいい時の古賀のリードを取り入れて、かなりの改善が見られた。こういうしたたかさはプロとしては大ありで、チームにとってはプラスの力にしかならないので大歓迎である。あとは、初球の入り方とそこしか打てないというところになぜか要求してしまう悪癖を直してくれれば、意味なくチームが敗北することが少なくなると思う。
そして自分が今シーズン最も感心したのはなんといっても高津監督の有能さである。最初の頃にいた投手(近藤や梅野)がいなくなっても、今いる投手をうまくやりくりして、最後まで投手陣を破綻させず優勝に導いた。特に、最後の最後でスアレスを後ろに回して一気に6回以降を安定させたのは見事な采配だった。奥川くんの使い方もこれ以上ない最高の使い方だった。
さらに、心底感心させられたのは、選手の現状をよく見て、それを受け入れた上でうまく使う器量の大きさである。
高津監督にとっては
・もはや山田が全盛期のような活躍をしないどころか、2割8分を打つのも厳しいことも(正直、1年休んだり、手術が必要なら手術して直してほしいが・・・)
・村上のバットが寝ているため速いボールに振り遅れることも(まあ、振り遅れてバンテの逆方向にホームランしてるけど笑)
・青木がランナーを進めることが苦手なことも、若干衰えが見られることも・・・(今年は打率が極端に下がりましたね・・・)
・中村のリードが基本いまいちなことも(いくらよくなったとはいえ、會澤なんかをみると、うらやましくなりますね・・・)
・ショートにこれだ!という選手がいないことも(ただ、今年は西浦も元山もよく頑張りました)
だからといって文句を言ってもしょうがないという感じで、その事実を受け入れた上での采配をふるい、チームを見事に優勝に導いた。こんなに個々の選手を使うのがうまい監督を自分は見たことがない。もしかしたら、野村監督以来の黄金期が来るのかな?と思わせられる2021年のシーズンだった。コロナ禍やオリンピックで世の中がバタバタしまくった中では、なおさら高津監督の現実的な采配のうまさは光っていた。今季の勝因は今野、清水、マクガフが頑張ってくれたこと、オスナ、サンタナが加入し、打線がアヘアヘではなくなったことが一番大きいのは間違いないが、それ以上に自分には高津監督の采配が印象に残った。
また、本稿とは関係のない余談となるがDeNAの牧は本当にすごいバッターだ。久々に本物が出てきたという感じである。この牧と、ショートの森の二遊間の可能性はとてつもなく大きいし、久々に見ていてわくわくする二遊間である。この二人にセンターの桑原を加えたセンターラインの強さはなかなかのもので、来季のDeNAは間違いなく手強い相手になるはずである。今から対戦が楽しみでしょうがない。
*2021年12月24日追記:
12月20日に元近鉄の金村さんが某ラジオ番組で「サンズはセカンドランナーにコース教えてと頼んでいた」という旨の発言を行った。また、それに関する記事中にある人が「あの日」と称して阪神の中心打者のスタッツをまとめてくれていたので引用する。
「あの日」以前の佐藤
.270(285-77) 19本 49打点 16四球 109三振
「あの日」以降の佐藤
.171(140-18) 5本 14打点 9四球 64三振「あの日」以前のマルテ
.287(261-75) 14本 43打点 45四球 47三振
「あの日」以降のマルテ
.216(185-40) 8本 28打点 29四球 25三振「あの日」以前のサンズ
.280(257-72) 14本 34打点 32四球 53三振
「あの日」以降のサンズ
.192(151-29) 6本 20打点 17四球 36三振
もちろん、この数字は何をも表していない。単にある一日の前後の打率をまとめただけである。ただし、スタッツを見ただけでもこれがヤクルトがまくって優勝した原因の一つとなったことは明らかだ。ヤクルトが強かったのではなく、ヤクルトが優勝してしまうくらいの何かが起こったのだ。
それにしてもNPBはレベルの低下が著しいと思う。主力打者は年々エース級のピッチャーを打てなくなってきている。そしてそれとは対照的に選手がもらえる年俸ばかりが急激に上がっているように見える。こすったあたりがホームランになってしまうテラス席の増設も個人的には嬉しくもなんともない。そんなどうでもいいホームランなんて見たくないのである。
自分は160キロの直球をインコースに投げ込むピッチャーと、それを豪快に打つ打者の対決が見たかったりする。また、ペドロマルチネスやマダックスのような多彩な変化球とコントロールと勝つための執念を持ち合わせたピッチャーも大好きである。今のNPBには見たい!と思わせる選手が少なすぎる。来シーズンは主にMLBを、そして横浜の二遊間に注目して野球を楽しもうと思っている。あとは正直なところどうでもよくなってきた。