将棋界における平等とは、という話・・・

本日、2025年の12月10日に女流棋士の福間香奈女流六冠がタイトル戦の日程と出産予定日が重なった場合に不戦敗になってしまう現行のルール(正確には棋士の産前6週~産後8週の期間とタイトル戦の対局日が1日でも重なってしまうと、日程の変更は行わず、当該棋士はそのタイトル戦に出場できない=強制的に不戦敗)に対して意義を求めて日本将棋連盟に要望書を提出した件で会見を行った。



ご主張されていることは十分に理解できるし、いくらでも解決の方法がありそうだったが、意外というか衝撃だったのは弁護士を従えての会見を行った点で、これは連盟に対するケンカ腰だと見られてもしょうがないと思われる。そもそも将棋連盟の現会長は福間さんと懇意である清水市代女流七段なのだ。なぜ、こういう攻撃的な形で世間に問題を提起する手段をとったのかは極めて不可解だった。それだけ、事前の調整がうまくいかなかったということなのだろうか。こういう形で問題提起をすることで世論の味方を得て、連盟に圧力をかけるというかなりあからさまな戦略が見てとれたのである。


現状は、こういう揉め事が大好きで焚き付けて炎上してメシの種にするオールドメディアが将棋連盟を叩く論調を展開し、それに乗っかる形で一般人も発狂している状態だが、棋歴が相当に長い自分としては、過去にも似たような揉め事があったのを覚えていて、その時もいきなり弁護士が出てきて、歴史のある将棋界にケンカを売って、余裕で散り、結果として振り回された女流棋士はかえって損をした、という件を思い出したのである。



まあ結論としては、「子供がいる家族は基本何をやっても許される」という近年のジャップランドの世相もあり(公共の場でのやりたい放題ぶりは、昔のマナーがよかった日本人の精神構造とは違いますよね・・・、子供の頃のしつけって大事だと思うんですが・・・)、福間さんの要望が丸々通る可能性が高いだろうと思われるし、まあそれもアリだろうと思うのだが、自分は福間さんの問題提起には議論する価値がすごくあると思うし、うまく着地させる必要があると思うのだが、それにまつわる周りの意見やノリには非常に違和感を感じたのである。このブログは「あっち側から」なのである。現状は将棋や将棋界をよく知らない人がいつもの通り正論を暴力的に振りかざしている状態で、自分目線では歪んだ正義を長年愛してきた将棋界で振り回されている感があるのである。そうではなくて、文字通り、あっち側から物事の裏に隠された誰もが言及しない裏側の意見を言ってみようと思うのである。




女流棋士の存在価値


そもそも論であるが、「女流棋士」と言う存在に価値があるのか?という部分だが、これは明確に価値がないのである。率直に言ってしまうとゼロなのである。理由はあまりに弱すぎるからなのである。


例えば今回問題提起した福間さんは、現在女流棋界ではタイトルを6つ独占して西山さんというライバルと二人で無双状態なのだが、2022年に行われたプロ棋士編入試験では0勝3敗とストレート負けで不合格になっている。ちなみに、福間さんの次に編入試験を受験した小山怜央さんは奨励会(プロ棋士になるための養成期間、半年に2人ずつがプロになることができる)の経験さえないアマチュアだったのに、3勝1敗で見事合格している。女流の場合は、一般棋戦に女流棋士参加枠があり、一般人よりずっと編入試験の受験資格を獲得しやすい環境にいるのだが(これもかなり不公平だと思いますが)、今までの結果では男性と大きく結果に差があるのである。


また、将棋界というのは従来「魅力的な棋譜を新聞社がお金を出す代わりに新聞に掲載させてもらう、さらに、タイトル戦もスポンサーとしてサポートする」という事で、成り立っていた業界である(最近、かなり変わってきていますが)。そういう意味では、女流棋士棋譜にはそれほど価値はなく、プロ棋士間で女流棋士棋譜を並べて勉強しているという棋士など一人もいないだろう(もちろん、里見(福間さんの旧姓)vs上田の女流名人戦のようにすごい戦いもありましたが)。じゃあ、なんで存在しているのかという話になると思うのだが、そこが将棋界のいいところで、そう思っていても誰も何も言わないで今までうまくやってきたのである。


つまり、ただ単に「女性であるから」という属性だけで、今の女流棋士という職業は成り立っているのである。別に明日突然それがなくなってしまっても、そう困る人もいない。あまりに弱いから女性を意図的に隔離して、居場所を作ってあげている、生活していけるだけのお給料も対局料として払う、そこまで厚遇されているのである。その認識が今回の議論ではきれいに抜け落ちている。もちろん、福間さんがご主張されているのは、その枠組み中の制度の話なので、上述したような大きな棋界の話とは全く無関係であることは当たり前であるが強調しておきたい。


これと、奨励会三段リーグでどれだけ研鑽を重ねても四段に上がれなかった元奨励会、いわゆる「元奨」の男性と比較してみてほしい。どれだけ、女流棋士が女性というだけで厚遇されているか。逆に元奨の男性は男に生まれたというだけで、女流棋士よりはるかに強くても、消しゴムの消しカスのように四段になれなかったら棋界から放り出されて、別の人生を歩まなくてはならないのである(女性の場合は奨励会がダメだったらなんのバリアもなくそのまま女流棋士になることができます)。これを逆差別と言わずに何と言おうか。


ちなみに、女流棋界からプロ棋士へというルートには今後、さらなるバックドアが新設されることがほぼ決まっていて、白玲というタイトルを5期保持すれば、フリークラスというプロ棋士の最低ランクのクラスに自動的に編入されるという、かなり露骨な抜け穴を用意することが予定されている。これはスポンサー(というか大タニマチですよね、あそこまでいくと)の意向が強烈だからこうなってしまっているようだが、将棋界が不正もなく世界で一番クリーンなスポーツ団体として重ねてきた歴史や先人たちの努力をぶち壊す最低の抜け穴である。完全実力制を貫いてきたからこそ今の棋界の隆盛があり、それが最大の魅力であることを忘れてどうするんだと思わず嘆いてしまうのである。




・どうしてもこれだけは言いたかったこと


というわけで、福間さんのご主張はかなりもっともだが、それに対する弁護士の攻撃的な態度やオールドメディアの的外れかつ扇動的な世論操作、それに操られる無知な一般人の発狂を見て、それは違うだろと思ったことを書いてみたのである。そのうち、「生理になったから対局日を変更してくれ」とかも10年先になるかもしれないが、アリになっていくはずである。というか、平等を追求したらそうなる方が自然であるし、今そこまでの声が出ないのは、発狂している側が周りの意見をさも自分の意見のようにコピーして刹那的に喚(わめ)いているだけで(まあ、10日もすれば誰も興味なくなって別のことに発狂しているでしょうね・・・)、オリジナルの意見を発信する知能がないからである。


繰り返すが、とにかく完全実力制こそが将棋界の魅力なのである。だからこそ、こんな世の中で、いい歳した大人が一日中ボードゲームをやっていても価値があるのである。今回の件で一つの意見として出てきたのを見たが、いっそ女流棋戦を廃止するというのも一つの手として候補にあがってしまう可能性もあるのだ。なぜなら、女流棋戦を廃止したら、現状では女性がタイトル戦に出場する確率はほぼ0%だからである。こういう解決というか問題処理のやり方だってあり得るのだ。本当に真の平等をバカ正直に追求したら、女流棋士という存在自体が差別になってしまうのだ。


そして最後に、というか、これが言いたくて本稿を認(した)めたのだが、元奨の男の子が、ティンコを切ってまで前述したバックドアを使おうとするケースが今後出てくるように筆者は思っているのだ。そしてそんなことは絶対あってはいけないと思うのである。そんなどうしようもない抜け穴を作るからこういうことが起こってしまう可能性が出てくるのだ。筆者はそこまでしてプロになりたいという彼らの将棋に賭けるピュアな気持ちをちょっとは知っているつもりである。そして、青春のほとんどを将棋に注ぎ込みながら、男に生まれたからという理由だけで散っていく人たちの気持ちにも世間はちょっとだけ寄り添ってもいいのではないかと、今回の件とそれに伴って発生した発狂を横目で見ながら思ったのである。本来、将棋界はそういった差別が起こらないように極力配慮して柔軟に対応してきたはずなのである。


もちろん、一人のミジンコレベルの人間がちょっと思っただけのことなのである。それを十分に理解した上でもどこにどう差別があるのかと、文句があるなら盤上で殴り合えばいいだけのことではないかと、それが将棋という世界で最も優れているボードゲームの本質なのではないかと、強く思ったのである。ねじれたポリコレを飲み込みすぎた先にあるのは、間違いなく衰退や滅亡であることは、日本中の天才が集まった将棋界であるのなら、しっかりと過去の歴史から学ぶべきなのである。


*2025年12月11日追記:

某新聞の見出しはこれ、

他のパ・リーグな新聞も同じフレーズを引用しています。

これは、福間さんが会見中に口にしたフレーズではあるのですが、やはり、なるべく火にガソリンを注いで可能な限り騒ぎを大きくしようとする意図が見えますね。SNSにいる知能の低い人たちの発狂ボタンをポチっと押すやり方です。

今回、後ろについている弁護団は5人とのことです。裏側ではどういった種類の人たちがうごめいて、どういう画を描いているのでしょうか。

また、LPSA騒動の時と全く同じなのですが、その時連盟を繰り返し批判した人たちが、再び水を得た魚の様にXで批判的なツイートをしています。こういう人たちに本当にうんざりしますが、特に将棋を大切にしてこなかったこれといった実績のない棋士が連盟を批判するのには本当に呆れます。もし文句があるのであれば、「日本女流棋士の権利を守る将棋連盟」というのを作って、そこの会長をやればいいだけなのです。連盟に反対する人たちには分裂して新しい組織を起ち上げる権利もあります。そうでもしないと、自分の客観的な価値などわからないのでしょうが、安全な内側にいてなんの責任も取らずに好き勝手言うだけであればそれはただの卑怯というものです。

*2026年01月28日追記:

昨日1月27日に福間女流が挑戦する棋士編入試験の第1局対山下数毅四段戦が行われましたが、虐殺といっていいレベルの大差での敗北でした。正直、大駒一枚違うのではないか?と思うくらいの圧倒的な差がついてしまい、後手の山下陣には一度も手がかかりませんでした。

やはり女性にだけここまで下駄を履かせて優遇することには非常に疑問が残ります。というか、男性の奨励会三段で強制退会させられた人と比較してしまうと、あまりに不公平なような・・・。そんなことを思ってしまうくらいの、衝撃的な内容でした。