2026年4月2日にJFAが会見し、ニールセン監督との契約を更新せず、満了としたことを発表した。事実上の解任と見られている。
女子W杯優勝監督であり、現在はJFAの女子ナショナルチームダイレクターという任に就いている佐々木則夫さんは、会見で、
彼の性格は温厚で僕も大好きだが、(1年間)W杯優勝することを逆算した中で見てきた。その中で、少し、どうしてもサッカーに対する指導が緩いというか、甘い。もっと突き詰めたアプローチ、トレーニングが必要。やはり、彼自身もコーチとして修正できることとできないことがあった
とかなり具体的に契約を更新しなかった理由について言及している。簡潔に言ってしまうと能力不足ということだと思う。
また、佐々木さんは先月の3月15日にスポーツ報知に以下の手記を寄稿し、ニールセン体制のなでしこに対する不満を述べていた。
特に、
今はWEリーグというプロリーグができて、海外にもいっぱい行っている。でも、なでしこジャパンはベスト8あたりで、常にそこを突破できない。だから、海外の監督を招聘(しょうへい)して、もっと頑張ります、というメッセージも入れた。やはり8強の壁を突破しないと頂点は見えない。スペイン、ブラジル、アメリカは上に上がってくるチーム。ただ、そこが強いからって、そこで負けてOKのハンコを押したら、おかしな話。負けてオッケーでミーティングが最後終わったら、選手もどこを目指しているんだろうと思ってしまう。今は常に優勝を目指している。大きな世界大会は今度のW杯なので、優勝へ持って行くにあたっての士気を、ニルスさんには今後見せてほしい。
ここの段落では、直接的にニールセン監督への注文を述べており、潜在的な不満を隠しきれない状態に達してしまったのだと思われる。
ニールセン監督の手腕というか能力については、彼が就任してからのなでしこの試合を見てた人なら、多くの人が疑問に思うことがあっただろう。
気づいた点を簡単にあげると、
- 35歳の熊谷を未だに主力として使っている
- 上記に関連して、基本池田監督時代とメンバーが全然変わっていない
- メンバーが変わっていないだけではなく、その時のベストな選手が選出されているのかという部分が非常に疑問、チーム内の競争がフェアに行われたかという疑問があった
- 他国と比較すると若手への切替が全く進んでいない(例えば、アメリカはめちゃくちゃ切り替えています)
- 池田ジャパンで解決できなかった宿題というか課題については完全に放置されたままで何も解決策が提示されなかった
- 特にサイズに対する部分、ちびっこボランチに圧力がかけられた時のソリューションがチームとして未だに何もない
- WEリーグで頑張っている選手を引き上げるというか、その目利きの部分が微妙(吉田莉胡を腐らせてしまった感じが・・・)
- 大怪我明けの清水選手を池田時代から引き続き重用するが、とりあえずは守屋選手でいいだろうに(無理に清水選手使って、全然走れてなかった試合がありました)
- GKも必要以上に固定しすぎ、足チャカであわわとなるシーンはもはやなでしこ名物となりつつある(他にもいいキーパーは日本にいっぱいいます、福田史織とか呼ばれてさえいない)
と、ちょっと考えただけでもこれだけ書くことができるので、やはり厳しかったなという感じなのである。
サッカーダイジェストの記事では、
なでしこジャパンは、昨年11月に長崎でカナダ代表とMS&MDカップで対戦し、その後に同代表とトレーニングマッチも行なっていた。
佐々木氏によれば、この2連戦からなでしこジャパンの狩野倫久コーチがチームの活動を主導しており、カナダ戦からチームに変化が生まれたという。それらを考慮して退任に至ったと伝えた。
「狩野コーチ主導で活動するなかで、監督をもっともっと深くサポートしてくれるような状況にカナダ戦から変わった。そのなかで非常に選手たちのパフォーマンスや戦術的な要素、チームビルディング等々も変化してきた。これらを踏まえて、本人(ニールセン監督)とも話をしたなかで、ワールドカップに向けての情熱や技量が足りないと決断した」
と書いてあり、実質的なコーチングは昨年から狩野さんが行っていたことも明らかになっており、リーダーシップという面でもJFAは全然物足りないと判断し、思ったより早い時期から解任を考えていたと想像できる。
しかしまあ、これからチームを再構築するのはかなり大変である。池田監督時代からメンバーもやっていることもほぼ変わっておらず、停滞は2年近く続いているのである。最近の試合では、特に戦術もなく、個々の選手が能力で強引に打開して得点に結びつけるシーンが目立ち、チームとして崩してゴールというなでしこの強みの部分を見ることは少なくなっていた。また、前線からのどうでもいい疲れるだけの激しいプレス、大事な場面でもすぐコケる(世界のサッカー見てたらわかりますが、肝心なところでは誰もコケませんよ)、シュートはアリバイ作りの宇宙開発ばかり、という、いわゆる「Jリーグ化」も顕著になってきていた(そういう意味では、澤時代のなでしこは本当にサッカーが上手でしたね)。完全なゼロスタートとなるのだが、うまくまとめきれる人材をJFAは連れてくることができるのか。次はコミュニケーションの部分も重視して日本人監督ということが決まっているようだが、これもかなり微妙というか疑問である。誰でもいいので優秀な人を連れてきたらいいのだ。しかし、今のJFAにはそんな力も人脈もないのだろう。
そうは言っても、すでにリセットボタンは押されたのである。なでしこジャパンはどこに向かっていくのか。メンバーはストライカー以外は揃っている(これは男子と一緒ですね)。メンバーを固定しまくった唯一の利点として、チームとしての共通理解度も非常に高い。あとは、マネージメントする側に責任がある。なでしこの最大の特徴である、「見ていて楽しい、かつ、勝負強い」という、究極の理想のようなサッカーは戻ってくるのか。1ファンとして期待して応援したいのである。