Appleが良くも悪くもイキりオラつきまくってるよという話2020

2020年は人類史上最も奇妙な1年といってもよかったと思うが*1、そんなクソみたいな1年であったにもかかわらず、アップルは他の会社と違って、なかなかエキサイティングな材料を市場に出してきた年だったと思う。ジョブズの時代と比べると、世の中に与えるショックというかインパクトや話題性は格段に減ってきているとは思うのだが*2、その分、今のアップルはしたたかにしかもがっつり利益を確保しながら新しいプロダクトや方向性を打ち出して前に進んでいくことができる会社に変貌したんだな、という印象がある。


この項では、どうしても簡単に見逃せずピックアップして記事にしておきたい3つの事について書いてみた。その内容がまた多岐にわたり、どれも内容が超濃いのがこの会社の底力というかすごいところなのだなと改めて思い知らされた次第である*3




1. ついにユーザーのPCの中の情報を堂々とぶっこ抜くように


他の2つもとてつもなく大きなトピックだが、自分的にはこれが一番大きな変化だと思う。元々、アップルという会社は情報公開がほとんどゼロみたいなかなり秘密主義な会社で、使用するにはある程度自分の自由をアップルに売り渡して、代償としてその便利さを享受する的な側面があったのだが、先日公開されたmacOSの最新バージョン「Big Sur」では、もはやマジ余裕!という感じでユーザーの個人情報を堂々とぶっこ抜きまくってせっせとアップルのサーバーに送っているのである。


詳しくはこの件についての専門ページ「 Your Computer Isn't Yours(あんたのPCはあんたのものではない=あんたの個人情報はすべてアップルのものよ♪、という意味か)を見て頂ければと思う。日本語訳もとても秀逸である。



特にショッキングな内容をピックアップしてみると、

  • 最近のバージョンの macOS では、君はコンピューターの利用ログを記録されていて、ログデータを送信されることなしには、電源を入れてコンピューターを使うことも、テキストエディターや電子書籍リーダーを起動して書いたり読んだりすることもできない。
  • 最近のバージョンの macOS では、君が実行しているすべてのプログラムのハッシュ値(固有識別子)を OS が Apple に送信していることがわかった。
  • 今日リリースされた macOS 11.0 Big Sur に追加された新しい API により、 Little Snitch がこれまでと同様には機能しなくなってしまった。新しい API は Little Snitch が OS レベルのプロセスを解析したりブロックしたりすることを許可しない。それどころか、 macOS 11 は VPN を無効化し、 Apple 製のアプリは VPN をバイパスすることができるようになっている。
  • すべての端末の iCloud Backup は有効化されると(デフォルトで有効化される)すべての iMessage 履歴を Apple に送信する。端末の iMessage 秘密鍵とセットで毎晩送られるのだ。 Apple は暗号化されたメッセージを復号できて、端末に触れることなくメッセージの内容を読むことができる。


とかとか、マジでやりたい放題である。やっている内容は某国の共産党でもやっていないレベルで限界を超えまくっている。ここまでやって何をしたいのかは全く想像がつかないのだが、あなたはシースルーの壁の家に住んでみたいと思ったことがただの一度でもあるだろうか?いくらなんでも、これはやりすぎというものだ。


そして、上記の記事でこういうことがいずれ起こると予言していたと書かれていたストールマンは今年のはじめにポリコレ勢に刺されて事実上業界から追放されている。


大統領選挙の件でも似たような事が起こってしまったが、あまりに一企業が力を持ちすぎてしまうと、当然ながらこういう傲慢な方向性が出てきてしまうのだろう。そして、それを監視し意見を言う人間が追放されてしまう(的はずれな文句を言う人間はいくらでもいるのだが、正しい正論を豊富な経験や技術の裏付けを元に発信できる人というのはかなり限られた数しかいないのだ)というちょっと見過ごせないなという事象(人類や世界にとってはインシデントと言ってもいいと思う)が発生してしまったのが2020年なのである。




2. EV車を開発していることが明らかに


これは12月にロイターがすっぱ抜いてやっと表に出てきたという感じである。


また、engadgetの記事はより深く掘り下げていてこちらも読んでおいても損はしない良記事である。




当然ながらこれで株価は余裕で上昇したし、2021年はもっと上がるであろう。


そしてお決まりのごとく、ジャップの無能なネット民は相も変わらずトンチンカンな真実と真逆なご意見をご披露されているのである。

  • アップルに車のノウハウはない、そもそも作るのは無理
  • 日本はハイブリッドが主流、EVを必要としている人は少ない
  • どうせ中身のパーツは日本製だらけなんでしょ?

などと、ちょっとiPhoneが世にはじめて出た時のことを思い起こさせる感じもあるが(だとしたらなんでその時起こった事から学習できないの???)、こいつらの言っていることはいつものことながら一から十まで全て間違っている(それにしてもなぜにいつも必ず間違ってるの???)。


まず、EV車で一番重要なのは、車の構造がハードウェア中心から自動運転などのソフトウェア中心の技術に移ることである。車に搭載された各デバイスを中央のコンピューターで制御するという構造がEV車の基本的な構造であり、アップルはmacOSという世界で一番優れたOSを有しているのである。この事がいかに有利なのかは一般の人はわからないかもしれない。macOSの最大の利点の一つはそのポータブル性で、どんなCPUにでも(他のOSと比べると)かなり簡単に短時間で移植することができるという特色を持っているのだ*4。これが、スマホやEV車にとってどれだけ相性がいいか考えてみてほしい。


だから、

  • アップルに車のノウハウはない、そもそも作るのは無理

というアホな意見を改めて考えてみると、アップルには数十年にわたりmacOSという世界最高のOSを開発、運用してきたノウハウがあるが、トヨタにはこれがないのである。それにこれからトヨタが似たようなOSを開発したとしてもmacOS以上のOSを開発できるとは到底思えない*5。この差は本当に大きいと思う。


振り返ってみると、macOSを開発したアビーテバニアンと彼を見出したスティーブジョブスの彗眼は本当にすごいし、その優位性は今になっても薄れるどころかますます強まる傾向にあるのである(まあ、すでにiPhoneが出た時点ですごさが炸裂してるけどね)。他の会社は今まで何をやってきたんだろうか、というくらいソフトウェアの分野ではアップルが他社を大きく引き離して先行しているのだ。


そして、アップルという会社がどういう会社であるということを決して忘れてはいけない。アップルはコンピューターや携帯電話の会社ではあるのだが、もう一つ、有史以来の最大の宗教団体であるということも忘れてはいけない。彼らはキリスト教だってイスラム教だって比較にならないくらいの信者を世界中に擁している史上最大の宗教団体なのだ。だから、もし実際にアップルがEV車を販売したとしたら、世界中でクールな人生を求めている人がこぞって買い求めるだろう。10万円以上するiPhoneをせっせと貧乏人が買うように、信者はアップルの車を購入するために人生の時間とお金を(別にアップルが頼みもしないのに)せっせと捧げるに違いない。そしてクールな自分を手に入れて悦に浸るのである。このカリスマ的とも言える吸引力はテスラや他の車メーカーとは全く比較にならないのである*6。アップルをなめてはいけない。彼らは自分たちの製品が社会においてどういう価値があるのか、そして、信者がその製品に対して、発売されたらどういう行動を取るのかをよく知っているのだ。


だから、

  • 日本はハイブリッドが主流、EVを必要としている人は少ない


という意見は完全に間違っているし、一番肝心なポイントを外している。EVを必要としてようといまいと、「アップルの車」であるということが大事なのだ。信者はガゾリン車だろうとなんだろうと、関係なくアップルが作った車を心の底から求めているのである。別に、アップルが作った掃除機でも冷蔵庫でもリアカーでも同じ現象が見られるのだろうが、彼らが目をつけているのは、今もっとも旬なEV車なのである。




3. M1チップがついに炸裂


そして最後にM1の話。まあ、これもすごかったしやっと出たという感じか。しかも、思っていたよりもはるか数十倍上をいったパフォーマンスにみんなが腰を抜かしたのである*7。なんといっても、エントリーレベルのM1でも、シングルコア性能は化け物と呼ばれたZen2の3950Xを凌駕しているのである。なんだそりゃ、と呆れるくらいのすごさである。


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そして、こいつはさらに発熱もほぼしないらしいのである。そしておまけに電池持ちもいいらしい。死角がないにもほどがある。


MS Officeなどの各アプリケーションもmacOSが持つポータビリティの高さから続々とM1にネイティブ対応してきており、もはやノートPCの分野に関しては、M1のMacBookを選ばないやつはアホという雰囲気さえあるようになってきている。


現在リリースされているMacBookMac Mniはどれも8コアが最大だが、アップルはどうやら16コアや32コアの製品を開発しているらしい。そして、その性能は「あんたら、現状のM1の性能ごときに驚いてんの?M1X見たことないんでしょ?、あーん?」と言っている人がいるくらいだ。



まあ、それでもこれだけプライバシーのないOSを強制的に使わされるというのはちょっとどころじゃなくかなり抵抗があるのだが、この速さとOSの完成度を考えると「まあいいか・・・」と思ってうまく付き合っていくしかないような気がする(実際はうまくつきあっていくどころか独裁国家に自ら喜んで移住する感じで、冷静に考えるとこんなバカな行動はないんだけど)。特に筆者は最近、Windows10とmacOSの両方を使うのだが、あまりの出来の違いにWindowsを全部捨ててMacに移行したくなる衝動を持ってしまうことがある(まあ、Win10はあくまでも仕事用のOSって感じだよね、それ以上でも以下でもないというか)。単にファイルをコピーするだけでも、「これはモノが違うわ・・・」とため息をついてしまうくらい、ベースとなるOSの出来が違いすぎるのである(というか、なんでWindowsは10になってもあんなにコピー周りがクソなのか・・・)。


とにかく、2021年のアップルの新製品、特にラップトップには大注目だ。M1Xを載せて出てくると言われている16インチはいわゆる「RIP Intel」マシンになることはほぼ間違いないだろう。特にクリエーターは大挙してインテルのラップトップを手放してM1Xマシンに乗り換えるはずである。


あのAMDでさえ、アップルの影さえ見れないのではないかというレベルの革新さをしれっと出してきたのは本当にすごい。アップルはいつの間にかソフトもハードも世界最強のプロダクトを揃えた会社になってしまったのだ。


*2021年01月08日追記:

M1についてとてつもない解説をしてくれているYouTubeチャンネルがあったので追記。

オレがYouTubeに求めているのはこういう動画なんだっつーの・・・。





といった感じで、コロ助で強制的に家にこもらされるという1年であったのに、何もやってないどころかここ最近で一番やりまくっていたというのが2020年のアップルである*8。プロセッサもOSもしばらくはライバルが見当たらない状態が続くのだろうが、そこでも緩まずに2021年ももっとエキサイティングな新製品を出し続けるのだろうか?信者の方はともかく、一般人としてもこの会社の最近の製品群はとてつもなさすぎて、自分の個人情報を全て売り渡してでも入信しちゃおうかな?とよろめいてしまうくらいである。


みなさんも入信するかどうかはともかく、余っているお金があるのであれば、貯金だと思って株を買っておくのがおすすめである。M1、M2チップで起きる市場シェアの変化から、開発中のEV車の全貌が見えてくる2024年あたりまでは、アップル株は普通にじわじわと上がり続ける可能性が高いと思われる。

*1:結局、ヤツが武漢のラボから漏れたものなのかどうかもはっきりしてないという、ジャーナリズムなんてものが一切存在しない世界が出現という感じ・・・

*2:まあ、ジョブズと比べると誰でも惨めな気持ちになるだろうから、比較自体がフェアじゃないよね・・・

*3:なんかもう日本のメーカーとかと比べるのが難しいくらいはるか先に行かれてしまったよね、ソニーとかほんとかわいそうになってくる・・・

*4:ジョブズは昔のインタビューでどんなCPUでも3ヶ月あれば移植可能と言っていた

*5:もちろん、代わりにAndroidで何かやろうとしてもわざとやってんじゃねーかというくらいのひどいズタズタにカスタマイズされたOSができるわけで・・・

*6:まあ、ドイツ車好きとかは似た感じかも

*7:自分はバッテリーが超持つセレロンみたいなことを考えていました・・・

*8:だから個人的にはティムクックは好きじゃないんだけど、このやりくりの手腕は認めざるを得ないのよね・・・