「ものづくり」の正体2:なんでこれができないの?編

ヤンエグトオルくんの日記


今日はちょっと飲みすぎた。ナウでヤングでエグゼクティブなオレは毎年この時期は飲み会が多くなってしまう。駅からの帰り道、オレは年末に買ったばかりの最新ピョニペリアからピョニーセンターへ電話しお気に入りのピョニドロイド「栞ちゃん」(ツンデレドロイド、デレ少なめ)にお願いをした。


「今からちょうど7時間後にアラームで起こして。その後、念の為5分おきに6回連続で鳴るように設定しておいて。」
「かしこまりました。お仕事大変ですね。頑張って下さい♪」


ピョニーが提供しているピョニドロイドサービスは本当に便利だ。ちょっと前まで使っていたアッポコのアッポフォーンだと毎日7時に目覚ましが鳴るようにセットしていたが、今は「今からX時間後」という設定を栞ちゃんにお願いできる。もちろん、毎日の睡眠時間は設定しなくともピョニーのライフスタイルポータルサイト「ピョニLIFE」に記録されている。目覚ましは出張で時差のある海外に行った時も重宝する。当たり前だがシンガポールで「日本の朝10時に起こして」と頼むことだって可能で、地味にありがたい機能だ。


家に帰ると10分前にONになった床暖房のおかげで部屋が暖まりはじめた頃だった。ピョニペリアのGPSの位置情報を見て、家からの距離で暖房が自動的にONになるように設定してあるからだ。これは、自分から頼んだのではなく栞ちゃんがいつかの帰りの電車に乗っている時にピョニメッセンジャーで提案してくれたのだった。AI時代ってすごいよね。


ソファーに座り一日を振り返る。なかなか厳しい商談が続いたハードな一日だった。飲み会もクライアントさんとの会合に近いものだったので、あまり気持ちよく酔うことはできなかった。栞ちゃんが見つけて予約してくれた「今、都内で一番イケてるイタリアンレストラン」はさすがにおいしかったけど。どうもすぐ眠れそうにないので、テレビをつけピョニステーション4に録っておいた「各ニュース番組の株価情報だけを編集したもの(栞ちゃん作)」を流し見した。


ピョニステーションはちょっと前まではただのゲーム機だと思っていたが、今は家の中のあらゆる電化製品を統合するゲートウェイの様なデバイスになっている。例えば録りだめておいたテレビ番組はピョニステーションとピョニペリアのリンク機能でピョニペリアにコピーすることもできるし、ストリーミングで見ることも可能だ(海外にいる時は、ノートパソコンのピョニオでストリーミングを見ることができるので、さみしい思いをすることがなかったりする)。ピョニステーションが進化したのでオレはアッポフォーンをやめてピョニー製品を買い揃えることにしたのだった。こいつはCPUの使用率が低い時間帯は仮想通貨のマイニングも行っているようだ(そしてそれはピョニLIFEで使えるポイントとして付与される)。


週末はピョニLIFEのトラベル板の有名人「温泉マン」さんの旅程をコピることにした。ピョニLIFEの情報を元に栞ちゃんが宿やレストランを予約してくれたので、オレは旅程をざっと確認するだけでよかった。宿は栞ちゃんが魚好きなオレ(肉肉しいのはちょっと苦手・・・)の好みを知っているので、同じグレードで地物の刺身がウリの宿に変更してくれたみたいだ。最近は自動運転で宿に着くまで寝ているドライバーが多いけど、オレは栞ちゃんとたわいのない話をしながら自分でハンドルを操作するのがいい気晴らしになったりする。ピョニーの電気自動車はカーナビの代わりにピョニペリアをボルトオンできるので、宿までのルートも臨機応変に選択できて快適この上ない。最近バズっているスイートポテトを使ったアイスクリーム屋さんがちょっと遠回りすればあるそうで、売り切れてなかったら寄ろうと思っている。


そういえばそもそもこの週末は確定申告の準備に空けておいたんだったっけ。でも、銀行もピョニー銀行に変えたことでピョニペリアの電子マネーの決済情報は全部ピョニLIFEに記録できたから、今年の確定申告はやることがほとんどなくなってしまった。おまけに、ピョニー銀行の「ピョニーAMEXゴールド」はありとあらゆるマイレージのお得な情報をピョニLIFE経由で勝手にひっぱってきてくれるので、今年の積算マイレージ数は去年の2.5倍になったのもうれしい副産物だった。そりゃみんなピョニーに乗り換えるわけだ。


確定申告だけは気分で栞ちゃんではなく、会計士ドロイドの「金光さん」を使ってみたが、まさか栞ちゃんがやきもちを焼くとは思わなかった(笑)。あまり気を利かしてくれることが少なくなったら困るから気をつけないとね(でも、毎月ピョニドロイド46のイベントでも古参ヲタとしてサポートしてるから多分大丈夫)。金光さんのおだやかな仕事ぶりが気に入ったので来年の分も予約してみたのだが、来年は利用料金が5%値上げされるらしい。でもこの便利さを捨てることはもうできないかな。


さあ、そろそろ寝ることにしよう。週末の予定は温泉旅行の達人温泉マンさんの旅程なので本当に楽しみだ。泉質のそれぞれ違う3つの露天風呂を巡れるらしい。それを楽しみにしながらならつらい仕事もはりきって頑張ることができそうだ。栞ちゃんは商売上手なので、ショッピングサイト「ピョニゾン」のグラサンやカバンなんかを旅のお供として勧めてくる。さすがに手の上で踊らされている気になるけど、自分が選ぶよりセンスがいいし、栞ちゃんは50%オフ以上の商品しかお勧めしてこない可愛げがあるので、ついつい買ってしまう。だから、今ほろ酔い気分でポチっても失敗することはそんなにないけど、買い物は朝の通勤電車の中でやることにしている。なんか時間を有効活用できてる気になって、朝から気分がいいんだ。こんなに日々の生活の密度を高めることを可能にしてくれたのは近年頑張っているピョニーの製品とサービスである。日本のものづくりバンザイ!




別に革命的な技術が使われているわけではない。ただ、こんなトオルくんのような生活は便利だと思う。AIやビックデータという新時代の根幹技術をわかりやすさやとっつきやすさでうまくくるんでいる。AIに対する恐怖感をドロイドサービスで中和したアイデアも見事だ。そして、ピョニーのように幅広い分野の電化製品を作っている会社にしかできない囲い込み戦略はそう簡単に真似できるものではない。やはり、ハードウェアの開発には経験やノウハウが必要だからだ。日本のものづくり文化は新しい時代でも錆びついていなかった。意外とここまで器用に幅広い製品開発ができるメーカーというのは限られており、世界でも今はピョニーとパナピョニックの2社の独占状態だ。日本のものづくりという言葉は今や「Monozukuri」として世界中で使われている。みんなGAFAに代表される攻撃的な性格のインターネットサービスに疲れていたのかもしれない。日本のおもてなし精神にあふれたピョニLIFEに代表される「やさしさ」や「癒やし」をコンセプトに起ち上げられた種々のサービスもここまで海外で受け入れられると思っていた人はサービス起ち上げ当初は誰もいなかった・・・。




改めて説明するまでもないが、ここに書かれていることはただの一つも実現されていない。ただの一つもである。日本の会社ではこういった発想すらそもそも存在しないのだろう。前回の投稿でも書いたがここに日本のものづくりの本質が透けて見える。ものづくりというのは物しか作れないことを表すのだ。未だに確固たるビジョンのない製品が単発で開発&発売され続けている。これらの製品が有機的に繋がりをもち、生きづらい時代の生活をサポートしてくれればどんなに便利か。しかし、残念ながらそんな無数のハードウェアをくるむソフトウェアを書くことのできるは日本人はいないのである。書かないのではなく書けないのだ。これがDNA的な制約だとしたら相当問題である。2000年以降の新しい時代の日本の停滞(そしてデフレ)の隠れた原因の一つはこのものづくりしかできない民族性にもあるのだ。